不意に将星さんの言葉が脳裏を過った。
『触れたくて、無意識に指先が―――』
彼の言う通り、今まさにその通りになっている。
「髪、柔らかいな」
「………そ、そうですか?」
「あぁ」
何、これ。
何かの罰ゲーム?
いつもと雰囲気が全然違うんだけど?
しかも、眼差しというか、表情が全然違う。
『チャンピオンベルト』って言った貴方はどこに行ったの?
どう反応していいのか分からない。
これって、褒められてるの?
貶されては………いないよね?
耐え切れなくなった私は、視線を彼から逸らすと。
「んっ……」
再び強い突風が吹きつけた。
咄嗟に目を瞑ると―――――。
「ッ?!」
えっ、なにナニ?
一体、どうなってんの??
風から守るように彼に抱き締められてしまった。
しかも、風に靡く長い真っ直ぐな髪を抱き留めるみたいに後頭部に手が回る。
世の女性ならキュン死しそうな展開に無駄に心臓が暴れ出す。
私もまだ、辛うじて『女』らしい。
胸がきゅんと正直に反応を示した。
頬に当たる革ジャンの感触が余計に鼓動を早まらせる。
風をやり過ごすと、ゆっくりと腕が緩められ。
「平気か?目にゴミが入って無いよな?」
「ッ…………はい」
何その台詞は。
これもこの男の手口な訳?
「とりあえず、車に乗るぞ」
「………はい」
自然と手を引かれ、彼の車へと歩かされる。
今までにない展開に、私は凄まじく動揺していた。



