土曜日の10時。
事前に予約を入れておいた行きつけのヘアサロンを訪れた。
「久しぶりだねぇ、小町ちゃん」
「あっ、はい。将星(しょうせい)さんもお元気でしたかぁ?」
「俺は相変わらずだよ。で、今日はストレートだったっけ?」
「はい」
「この髪、もう飽きちゃったの?」
「いえ、そうじゃないんですけど……」
「ん?」
タオルを首に巻き、ケープを羽織ってシャンプー台へ横たわる。
顏にガーゼハンカチがふわりと乗せられた。
「熱くない?」
「あ、はい。大丈夫です」
このヘアサロンのオーナー将星さんは、姉の同級生。
物腰柔らかな彼は、老若男女問わず人気者。
特にマダム世代には絶大な人気を誇っている。
「で、ストレートにしたい理由は………もしかして、彼氏の影響?」
「え?」
「何だか、少し雰囲気が変わった気がするんだよねぇ」
「えっ、そうですか?」
「ん~。肌の調子も良さそうだし、メイクも少し念入りにしてるでしょ」
「…………」
やっぱり、美容師の目は誤魔化せない。
メイクだけならともかく、肌の状態まで見抜くなんて。
「無言な所をみると、当たりみたいだね」
ガーゼが顔に掛けられていて良かったよ。
マジマジと鏡越しだったら、きっともっと動揺していたに違いない。
「はい、お疲れ様でした」
「ありがとうございます!」
ケープが外された私に手鏡が手渡され、椅子がクルリと回転した。



