玄関で靴を脱ぐ彼に一言。
「あの、うちはダイニングがないのでリビングでもいいですか?」
「ん、構わないけど」
「それと、夕食はまだですよね?」
「あぁ、まだだけど」
「良かったぁ。すぐに用意しますので、適当に座ってて下さい」
「洗面所、借りてもいいか?」
「あっ、はい。そこの右側です」
一応、部屋の掃除もしておいて正解だったね。
食事の前に手洗い・うがいをする人みたい。
やっぱり、彼は健康管理もしっかりしてるんだ。
そんな事を考えながら、キッチンで盛り付けを始めた。
腕に撚りをかけてと言っても何が好きなのか分からないから、オーソドックスに和食御膳風にしてみた。
少し大きめのお盆に小鉢を並べて……。
炊き立ての白米
なめこと豆腐と豆苗のお味噌汁
蓮根のきんぴら
ほうれん草の胡麻和え
合わせ味噌のふろふき大根
しらす入り厚焼き玉子
トマトソースのロールキャベツ
キャベツと胡瓜と昆布の浅漬け
杏仁豆腐
以前にメールで“食べたい物は?”と聞いた時に、“栄養のあるもの”と言っていた。
だから、彩りよく栄養価も考えて作ってみた。
しかも、小鉢に適量ずつ盛り付けて、上品さも忘れない。
大皿にドカ盛り状態なら、絶対に毒吐かれそうだもんね。
温め直した物を丁寧に盛り付け、彼の前に運ぶ。
第一声は何て言われるのか、緊張する。
自分の分も運び終え、テーブルに着いてお茶を淹れると……。



