「ッ?!」
突然長い腕が伸びて来て、肩を抱き寄せられた。
勿論、その長い腕の持ち主は隣りにいる彼で………。
ゆっくりと顔を近づけた彼は周りには聞こえないように、私の耳元で甘く囁く。
「ちょっとだけ付き合って」
「………?!!!」
思わず彼の顔を仰ぎ見ると、彼は先程と同じように爽やかな笑顔を向けて来た。
そして―――――。
私同様、固まっている女子社員に笑顔を振りまき、
「じゃあ、俺らはこれで」
彼に向けられた視線は無条件で隣りにいる私へと注がれる。
何なに………どうなってるの?!
「えぇ~っ?!麻生さん、もう帰るんですか?」
「そうですよ!!さっき来たばかりじゃないですか!!」
必死に止めにかかる女子社員。
言葉は麻生さんに向けられているものの、彼女らの視線は完全に私にロックオン状態。
『ちょっと、麻生さんとどんな関係なわけ?』
『お局様は、1人で帰ったらどうですか?』
そんな彼女らの心の声が聞こえて来た。
すると、
「悪いね、この後は彼女と約束してるから~」
「「えっ、うそぉ~~ッ?!」」
見事にハモる声。
そんな彼女らの声に怯えるように肩を竦めると、彼は私を抱えるように立たせ、部長らに会釈する。
「すみませ~ん、お先で~す!」



