「旨いか?」
「…………はい」
「それ、三宅食品の新商品」
「えっ?」
「先週の商談の時に余分に貰ったヤツ」
「………結構美味しいです」
「まぁ、野菜も少し加えてあるけどな」
彼が用意してくれたのは、即席鍋焼きうどん。
彼が言うように野菜が少し多めに入っている。
冷え切っていたカラダと心が少し温まった気がした。
ふと時計が視界に入り、固まってしまった。
現在の時刻、2時45分。
私は公休日だから平気だけど、彼は仕事があるんじゃない?
「あの、麻生さん」
「ん?」
「今日、お仕事ですよね?」
「ん~」
「寝なくていいんですか?」
「寝るよ」
彼はテレビを眺めながら淡々と答える。
「先に休んで下さい。私、今日は公休日なので」
「…………ん」
「ホント、休んで下さい。長距離を運転して疲れてるでしょうし、少しでも身体を休めた方がいいですよ?」
「……ん。お前がそれを食い終わったら寝るよ」
「…………はい」
きっと、気を遣ってくれたに違いない。
私は食べる事に集中した。
歯磨きを終えた私はリビングに戻ると―――。
「ここに座って」
「………はい」
彼の手には湿布薬が握られていた。
「少しひんやりするからな」
「………はい」
痛みと熱を帯びた患部に湿布薬が貼られた。
肩が触れ合いそうな距離。
いつもの毒を吐く彼じゃないから、妙に胸が騒ぎ出す。



