車から降りて、彼の部屋へと向かうが……。
捻った足首が痛くて、3階まで階段を上るのは難しそう。
彼の後ろを静かに歩きながら、階段の手前に差し掛かると。
「ッ?!」
「足、痛めたんだろ?」
「………知ってたんですか?」
「見れば分かるよ」
振り返った彼は、階段を照らす街灯の下でしゃがみ込んだ。
「ここか?」
「ッ!!」
彼は痛めた足首を確かめるように指先で軽く押す。
その少しの衝撃にも私の足は悲鳴を上げた。
「結構腫れてるな」
「………」
「少し我慢しろよ?」
「へ?」
立ち上がった彼は、私の身体を軽々と抱え上げた。
「ッ?!!」
先日の記憶が甦る。
私の身体をしっかりと抱きかかえる逞しい腕。
仄かに香る柑橘系の香り。
そして、今日は………彼の優しさがプラスされて。
玄関前まで運んで貰い、彼の部屋へと入る。
「適当に座ってろ」
久しぶりに訪れた彼の部屋。
相変わらず、物がスッキリしていて綺麗な部屋。
彼は何やらバタバタと部屋を行き来する。
私はリビングのソファに座り、彼を視線で追っていた。
暫くして、彼が私のもとへやって来た。
「足は温めると悪化するから、サッとシャワーを浴びる程度にしろよ?」
「………はい」
「浴室は廊下を出て、左側な?」
「………はい、ありがとうございます」
彼に手渡されたのは、彼の服と新しい歯ブラシ。
彼はこれを用意してくれたようだ。



