寒さを必死に堪えながら、1時間ちょっとが経過した頃。
突如、ポケットの中の携帯が震え出した。
すぐさまそれを手に取ると、ディスプレイには『麻生大和』
私は瞬時にフリックした。
「小町、赤いコート?」
「え?……あっ、はい!赤いコートです!」
「解った。今通り過ぎたから、すぐ戻るな?」
「はい、……待ってます」
彼からの電話がこんなにも待ち遠しいと思うなんて。
私は携帯を握りしめ、行き交う車に視線を向けていると。
対向車線側の路側帯にハザードランプを点灯させ、1台の車が停車した。
すると、すぐさま彼が車から降りて、私のもとへ駆けて来た。
「悪い、待ったよな」
「いえ、平気です。わざわざこんな遠くまですみません」
私は深々とお辞儀をした。
すると、
「話は後でゆっくりするとして、とりあえず、警察に行かないと」
「へ?」
「鞄の中に、財布が入ってんだろ?」
「………はい」
「カードとか、免許証とか、保険証の類は?」
「…………入ってますね」
「なら、直ぐに手続しないと」
「………そうですね。すっかり忘れてました」
彼の言う通りだ。
クレジットカードを使われてしまうし、保険証だって免許証だって悪用されちゃう。
気が動転しててすっかり抜け落ちてたよ。
私は彼の車で最寄りの警察署に向かった。



