「うん、早かったよね」


友達との会話に返事をして、なんとなく

最後の教室をふらふらーっと見回した。


その中でもやっぱり見つけてしまうのは、

あの人だったりする。


(諦めた……つもりなんだけどな)


とっくに、諦めたんだけどな。

なんでまだ見てるんだろう…………か。



『水莉ー?なにぼーっとしてんの??』

 
「んー?なんでもないよ」


本当に、なんでもない。