――私は、マサ君の事が好きだ。それこそ、本人にすら隠す気なんてないほどに。
きっかけは3年前、私が高校2年だった頃。
居場所を失くして途方に暮れていた私に、帰る場所をくれたのが彼だった。
それ以来、私は彼の事が好きだ。不器用な優しさも、少し人見知りなところまで全て。
逆に、今は彼に欠点があった事に感謝すらしている。
(だって、彼に欠点があるってことは、私が支える余地があるってことだもんね!)
むしろ、お互いの欠点を補えるってなんか夫婦っぽくない!?なんて考えて、勝手にテンションを上げて一人で笑う。
こんな風に『恋』をすることを教えてくれたのも、恋がこんなに楽しくて、難しいものだって教えてくれたのも彼だけ。
だから私は、今日も頑張って彼にアプローチするのだ。
たとえ、マサ君にとって私は妹のような存在で――どれだけアプローチしても振り向いてもらえないと分かっていても。
「……はぁ」
ほんの少し切ない気持ちになった私は、すぐに気を取り直すとキッチンの方へと戻っていった。
葉月からお仕事の話ももらったしその話もしなきゃね、なんて考えながら。


