『〇〇駅~〇〇駅~〇×行きが発車いたします』
というアナウンスとともに、人がたくさん押し寄せてきた。
「けっこう混んできたな。美咲もっとこっち」
と、輝に肩を抱かれる。
……//
さっきよりも距離が縮まった。
「後一駅だから辛抱しろな」
「うん」
この距離感、ドキドキするけど、何か安心感がすごいある。
私は、もう少しこの時間が続けばいいのにな……なんて思ってしまった。
『××駅~××駅~ご乗車の方はご注意ください』
「あ~久々の電車は疲れたな~」
「私、初めて××駅降りた」
「まじか、けっこういい時間になったな……美咲、走れるか?」
と、足を確認する。
今日はヒールじゃなくてぺたんこ靴にしてきた私。
「うん、なんで?」
「ちょっとまだ秘密。じゃあ行こうぜ」
「うん」
やっぱり駅に着いても輝は目的を教えてくれなかった。
けっこうこっちだとちょっとした丘なんだ。
「美咲、かけっこしようぜ」
「え?この丘を!?」
「そう。じゃあよーいスタート!」
「ちょ、待ってよ~!」
輝は『ス』という声とともに出発して行った。
ずるいやつだよまったく……!
輝に勉強で勝てないなら、運動だけでも勝ってやる!
「美咲遅いぞ~」
「違うから、輝がずるしたんだからね」
「もうすぐ一番上だから頑張れ」
「うぅ~……」
けっこう急だし、最近運動してないから体力が……
「あ~もうダメ……ギブ……」
「お疲れ美咲。あそこに公園あるから座ろうぜ」
「うん……」
こんなところに公園なんてあるんだ。
丘の上の公園って、何か雰囲気いいな~。

