「なんだよ、予定と違うじゃん……」



「あぁ、お父さん頑張ったよ。
輝にはいつもいつも寂しい思いさせちゃってるな」



「別に……俺は何とも……」


チビは言葉を濁らした。



「寂しい……とは思ってる。
でも、父ちゃんを困らせたくない」



「輝……ごめんな。まだ小学生なのにな。
もっとわがまま言っていいんだぞ?輝のためならお父さん頑張れるから!」



「俺、父ちゃんが家に居てくれたら嬉しいんだ。
もっと家族で過ごしたい。母ちゃんと父ちゃんと一緒に居られればいい」



「他に言うことは?」



「……夏祭り、一緒にほんとは行きたかったんだ。
家族で来てる人たちが羨ましかった」


チビの正直な想いだった。


「莉緒から聞いた。輝が行きたがってたって。
輝何も言ってくれないんだから」



「それはっ……困らせたくなくて……」



「そんなこと思わせてごめんな。
これからはもっともっとわがまま言ってくれよ?
今年の夏休みはぱっと家族出かけよう!」



「……うん!!」



チビとチビのお父さんは指切りをした。


それを莉緒さんは暖かく見守っていた。