「でもなチビ、やっぱり我慢は良くない」



「何で?俺は親に迷惑かけたくない」



「子どものわがままが迷惑なんて思う親なんていねぇよ。
チビは今までも我慢してたんだろ?少しくらいわがまま言ったっていいじゃねぇか」



「でも……」



「俺、小5の時我慢出来なくて言ったんだよ。
『俺はもっとたくさん家族と過ごしたい』って。
そしたらばばぁ……母さん泣いちゃって。
今まで俺がそんなこと思ってたの知らなかったらしくてさ。
まぁ俺もダチの家に行っちゃって家にいないときもあったから、俺のこと知らなかったんだろうな」



「それでどうなったの?」



「そんなすぐにはいかなかったけど、ちゃんと父さんも時間作ってくれて、家族で過ごせる時間が出来たよ。
だから俺は後悔してねぇよ。ちゃんと素直になるべきなんだよ」



「そっか……」



「お前も今の気持ちを親に言うべきなんじゃねぇの?」



「言ってもわがままじゃないかな?」



「大丈夫に決まってんだろ。ちゃんと言えよ?」



「あぁ……分かった。ありがとう輝!」


チビはちょっと涙を浮かべながら、
ちゃんと笑顔で俺に礼を言ってきた。



お前も辛かったんだよな。


俺とチビは名前だけじゃなくて、ちょっと似た境遇だったんだな。




「ほら涙は風呂に流せ」



「それを言うなら水にだろ」



「分かってるわ。あ、鼻水は流すなよ」



「な、流さねぇよバカっ」



「うるせぇ泣き虫」



「輝に感謝して損したっ」



まだ全然遅くはねぇから、

ちゃんと素直になれよ輝。