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「はぁ~……気持ちいい」
チビが湯船に浸かって、最初の一言がこれ。
「あんなにうるさかったのに、いざ風呂に入ったら静かだな」
「すっげぇ気持ちいいんだもん」
「そうだろそうだろ」
風呂に入ると俺も落ち着く。
「ほらチビ、もうちょいつめろ」
「でも何でよりによって輝と入らなくちゃなんないんだよ~」
「まあまあ、女には弱ったところ見せたくないだろ?」
「はぁ?なんだよ……別に俺は何もないし」
まぁすぐ素直にはならないよな。
ほんと、俺の小さいころを見てるみたいだ。
「俺もさ、小さいころから親が共働きで忙しくて全然家族で出かけられることがなかったんだ」
「え?……輝も?」
「あぁ。親が帰ってくるのが日付跨いだりするときは、1日中1人とかあったりしたよ」
「寂しくなかった?」
「そりゃ小さいころは寂しかったよ。でも我慢してたな俺。どうせ親は俺のことなんてどうでもいいんだろうなって自暴自棄になったりとかもしたし」
「そうだったんだ」
「お前も今そんなこと思ってるんだろ?」
「えっ……」
図星だな。