俺たちは先に玄関に行って靴を履く。



「あったあった~」


美咲は下駄を見つけてこちらに小走りで来る。



「ほら、荷物持つ」



「ありがとう」


美咲は下駄を左足、右足と履いていく。



あ~……可愛い。

白い浴衣似合いすぎ。



「あ、待って。ケータイ置いてきちゃった!」



「たく、取ってこいよ。待ってるから」



「うん、ごめんっ」



「転ぶから走んなよ」



「うん!」


なんて言うけど、美咲は走るんだよな。


優しいんだよなこういうところも。




「……」


ピュッ



「なっお前また……っ」



「キモいから水かけてあげた」



「何が「鏡見てみなよ」


輝が指を差したのは、玄関にある鏡。



そこに映ったのは、

めちゃくちゃ顔が赤い俺。



「……//」


何だこのキモい男は……っ

余裕なさすぎだろ俺!



「今日は俺がいて良かったね」



「……黙れチビ」



「また水かかる?」



「それは勘弁してください」



これ以上かかったら服が乾かねぇ。



「ごめんごめんっ……って、
また輝濡れてるんだけど」



「ちょっと俺の的当てに付き合ってもらったんだ」



「そっか~輝優しいね」



「うん、すごい優しい優しい」


チビめ。

絶対思ってないだろ。

これからはチビって呼んでやるからな。




「それじゃあ、お祭りにしゅっぱーつ」



「おー!!」


ふっ……無邪気すぎんだろ。



まぁ2人きりのが断然いいけど、

今日はチビがいてくれて良かったかも。


2人が並んで歩くから、俺は一歩後ろを歩く。


ちょっと離れて見てみる。



「……//」



はぁ……祭りどころじゃねぇな俺。


今日は色々と頑張ろう。