「ダメって言ってるでしょっ
ママは先に行ってるからね」


と言って、子どもを置いていくお母さん。


って、おいおい置いてくのかよっ?



「うぅ~……っ」


……よく見たらまだ幼稚園くらいか?


ったくどうするんだよ。


あんな床にべったり座り込んでたら、

ほっとけるわけもないし。


でも、何て声かけたらいいか分かんねぇ。


うーん……




スっ____



「僕、どうしたの?」



「ふぇっ……ぐすっ……」



美咲は子どもに近寄って行った。




「なーに?お姉ちゃんに話してごらん?」



「ママをっ……怒らしちゃったわぁぁんっ」



「そっか~。じゃあちゃんと謝らないとね」



「うん……ぐすっ」



……すげぇ。



「輝、ちょっと先にお会計してて」



「え?あ、あぁ」



美咲は子どもと手を繋ぎながら、

お母さんを探しに行ってしまった。



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「輝、おまたせっ」



「おう、大丈夫。さっきの子どもは?」



「あぁ。あの子なら「お姉ちゃーんっ」



そう呼んだのはさっきの子どもだった。



「ばいばーいっ」


その子どものお母さんは頭を下げ、

子どもはぶんぶん手を振りながら去って行った。




「すっごい元気になっちゃって。
結局おもちゃは買ってもらえてないけどね」



「……美咲ってすごいな」



「え、何が!?」



「そのままの意味。さあ帰ろうぜ」



「う、うん」



美咲の瞬時の行動はすごかったな~。


俺には出来ない。


あんなにわんわん泣いてたかと思えば、

けろっと笑顔になるし。


子どもってやっぱり分かんねぇな。