四百年の恋

 ……真姫は大学に到着。


 構内に入り、講義室へと向かっていた。


 「真姫っ!」


 背後から友人の麻美に呼ばれた。


 「あ、おはよう……」


 振り返って挨拶をしてすぐ、麻美の表情がただごとではないのを察した。


 「大変よ! すぐ二階の研究室に行きましょう。 メチャメチャなの!」


 麻美が真姫の腕を引っ張ったところ、


 「研究室……!」


 真姫は思い出した。


 昨夜圭介ともみ合った際、研究室内の書類などをひっくり返したままだった。


 そしてそのまま立ち去ってしまい、辺りはメチャメチャなまま、施錠した記憶もない……。


 「さ、早く。……それより吉野くんのこと聞いた?」


 「えっ、吉野……」


 真姫はドキッとした。


 研究室をメチャメチャにしたのは、強引に抱こうとした圭介に対し抵抗したから。


 「よ、吉野くんがどうしたって?」


 平静を装って、真姫は麻美に聞き返した。


 「真姫もまだ知らなかったんだ・・・。大変なことになったのよ」


 「えっ、いったい何が」


 「……昨日の夜遅く、研究室に近い階段から転落して、大ケガしたんだって」