圭介は、振り向くことができない。
美月姫の目など見られない。
決意が揺らぐ。
美月姫を手放せなくなる。
(美月姫……)
思いを断ち切るのが苦しい。
だが、かつて自分によって死に追いやられた福山冬悟の無念を思えば、この苦しみなど比べようもない。
愛する人を失い、その敵に抱かれた月光姫の悲しみも。
「ごめんなさい……」
突然美月姫が泣きながら、圭介に謝ってきた。
「少し、このままでいさせてください」
圭介の意志の固さを察したのだろうか。
それ以上は求めてこなかった。
その代わりにしばし圭介の背中に顔を埋め、静かに泣き続けた。
夕日は静かに水平線に近づいていた。
最後の光を辺りにまばゆく放ち続ける。
そのままで時は流れ、太陽が水平線に触れる直前だった。
「吉野さん。お願いがあります」
しばらく圭介の背中に頬を埋めていた美月姫が声を出した。
「どうした」
「もう吉野さんを困らせるようなことは言いません。だから、最後に一度だけ……」
美月姫は言いかけた言葉を飲み込んだ。
「一度だけ、何だ?」
「キス……してください」
美月姫の目など見られない。
決意が揺らぐ。
美月姫を手放せなくなる。
(美月姫……)
思いを断ち切るのが苦しい。
だが、かつて自分によって死に追いやられた福山冬悟の無念を思えば、この苦しみなど比べようもない。
愛する人を失い、その敵に抱かれた月光姫の悲しみも。
「ごめんなさい……」
突然美月姫が泣きながら、圭介に謝ってきた。
「少し、このままでいさせてください」
圭介の意志の固さを察したのだろうか。
それ以上は求めてこなかった。
その代わりにしばし圭介の背中に顔を埋め、静かに泣き続けた。
夕日は静かに水平線に近づいていた。
最後の光を辺りにまばゆく放ち続ける。
そのままで時は流れ、太陽が水平線に触れる直前だった。
「吉野さん。お願いがあります」
しばらく圭介の背中に頬を埋めていた美月姫が声を出した。
「どうした」
「もう吉野さんを困らせるようなことは言いません。だから、最後に一度だけ……」
美月姫は言いかけた言葉を飲み込んだ。
「一度だけ、何だ?」
「キス……してください」



