四百年の恋

 「いやです、そんなの」


 美月姫は後を追ってきた。


 「これっきりだなんて……。二度と会わないつもりですか?」


 「……」


 「どうして何も言わないのですか? 吉野さんもこのまま私を置き去りにするのですか? あの人みたいに」


 再び溢れ出しそうな涙を、美月姫は必死でこらえていた。


 「お前の帰る場所は、俺じゃない」


 一言そう答えた。


 「いつか……あいつは戻ってくるから」


 あてのない慰めで、美月姫をなだめた。


 「それまで、信じて待っているんだ」


 再び歩き出した。


 「どこにも行かないでください」


 美月姫は圭介に追いつき、再び背後から抱きしめた。


 「私を、一人にしないで……」


 背中に頬を埋めて、懇願する。


 伝わる熱と鼓動。


 このまま、何もかも一つに溶け合ってしまいたいくらいに。


 ……ついに美月姫の瞳から、涙がこぼれ落ちたようだ。


 ほんの少し前まで、圭介と二人新たに生きていけると信じていて舞い上がっていたのが、急に奈落の底に突き落とされたような感じだった。


 現実を受け入れられずにいる。