四百年の恋

 「俺は、お前を受け入れるわけにはいかない」


 圭介は繰り返した。


 心とはうらはらな言葉を。


 これ以上、同じ過ちを繰り返さないために。


 「……もしも今ここに突然、清水優雅が現れたとしたら、お前はどうする気だ」


 「!」


 美月姫ははっとした。


 想定していなかった状況。


 もし今目の前に優雅が現れたとしたら?


 そして今でも愛している、今後の人生共に歩いていこうと求められたら?


 「……」


 「その時になって突然、もう用済みだと捨てられたりしたら、こっちもいい迷惑だしな」


 美月姫は即答できなかった。


 もし突然優雅が戻ってきて求められたら……拒絶する自信がない。


 「でも私は……」


 なおも美月姫は圭介に刹那の愛を求め続けた。


 潤んだ瞳で見つめられていると、また決意が揺らぎ始める。


 (だめだ)


 優しく抱きしめて、悲しみを忘れさせてあげたくなる。


 それを抑えるために、また背を向けた。


 「もう、これっきりにしよう」


 優しく接すると、歯止めが利かなくなる。


 生まれる前から脈々と受け継がれている思慕を断ち切るために、圭介は歩き始めた。