四百年の恋

 「そんな確率の低い期待に望みを託して、一生待ち続けなければならないのですか?」


 潤んだ瞳の美月姫は顔を上げて、圭介に問いかけた。


 ……前世の固い約束を、福山冬悟が忘れるわけはない。


 たとえこの世では、清水優雅として新たな生を受けていても。


 そのことを圭介は確信しているのだけど、前世の記憶のない美月姫に伝えても混乱させるだけだ。


 圭介にできるのは、月光姫の生まれ変わりである美月姫が、今度こそ間違いなく福山冬悟こと清水優雅と添い遂げられるよう導くことだった。


 それが、罪を犯した福山冬雅の生まれ変わりである、自らの最後の務め……。


 「いやです、私。望みの薄い期待に賭けて、待ち続けるだなんて。これ以上つらい思いはもうしたくない」


 ゆっくり立ち上がり、再び圭介にすがりついた。


 「吉野さん。私じゃだめですか……?」


 美月姫はあてもなく今、孤独を恐れていた。


 さらなる孤独から逃れるために、圭介の救いを求めていた。


 「私、吉野さんのそばにいたいのです」


 再び圭介にすがりつきながら、美月姫がつぶやいた。


 最初は優雅に置き去りにされた寂しさを埋めるためだったかもしれないが、救いの手を差し伸べてくれた圭介に対する思慕の情が、気がつけばかなり大きくなっていたようだ。