「瞬間的に全ての困難を乗り越えてもいいと思えるほど、お前のことを愛していたんじゃないかな」
「でも清水くんは、結局私を置き去りに」
「断腸の思い、後ろ髪を引かれるようにつらかったから、あの夜謝恩会をすっぽかして、逃げるように東京に旅立ったのだろう。お前の顔を見てしまえば、決意が揺らぐと危惧して」
「もしも吉野さんの言う通りに、清水くんが私のことを愛してくれていたとしたら。私も一緒に連れて行ってほしかったです」
「何もかも犠牲にして、か?」
「!」
美月姫は、優雅と共に生きた時のことを想像してみた。
自分以上に、優雅は失うものが多すぎる。
今まで育ててくれた、母親からの期待。
後継者にと望む、父親からの願い。
約束された将来。
家柄のある令嬢との結婚……。
愛を貫くことによって、優雅が失くしてしまうものはあまりにも多すぎる。
「あいつがお前を愛していたのは、疑いようのない事実だ。一度は周囲のことを考えるあまり、重荷に耐えかねてあいつは逃げ出したけれど、今後もしかしたら状況に変化が生じるかもしれない」
「変化って……?」
「例えば、丸山乱雪の跡を継がなくてもよくなるとか。政略結婚の話がなくなるとか」
「でも清水くんは、結局私を置き去りに」
「断腸の思い、後ろ髪を引かれるようにつらかったから、あの夜謝恩会をすっぽかして、逃げるように東京に旅立ったのだろう。お前の顔を見てしまえば、決意が揺らぐと危惧して」
「もしも吉野さんの言う通りに、清水くんが私のことを愛してくれていたとしたら。私も一緒に連れて行ってほしかったです」
「何もかも犠牲にして、か?」
「!」
美月姫は、優雅と共に生きた時のことを想像してみた。
自分以上に、優雅は失うものが多すぎる。
今まで育ててくれた、母親からの期待。
後継者にと望む、父親からの願い。
約束された将来。
家柄のある令嬢との結婚……。
愛を貫くことによって、優雅が失くしてしまうものはあまりにも多すぎる。
「あいつがお前を愛していたのは、疑いようのない事実だ。一度は周囲のことを考えるあまり、重荷に耐えかねてあいつは逃げ出したけれど、今後もしかしたら状況に変化が生じるかもしれない」
「変化って……?」
「例えば、丸山乱雪の跡を継がなくてもよくなるとか。政略結婚の話がなくなるとか」



