四百年の恋

 「え……」


 圭介の予想外の言葉に、美月姫の顔色は一瞬明るくなったが、


 「私を慰めるために、口から出まかせを言ってるんですね。気休めにもなりません」


 再び夕闇を帯びた表情に戻り、美月姫は俯いた。


 「愛するがゆえに、つれなく振る舞い、何も言わずに姿を消したんじゃないのか」


 「なぜそんな必要が」


 「親のこととか家のこと。想いを貫くには困難が多すぎて、あいつは本当の気持ちを打ち明けられずにいたんじゃないのかな」


 「結局、今は私のことなど何とも思っていないという事実に、変わりはないじゃないですか」


 「……心底、そう決め付けているのか?」


 「……」


 「あいつはああ見えて、女関係はきちんとけじめをつけていた。問題を起こしたら親にも迷惑がかかるし、将来にも影響を及ぼすと危惧していたはずだ。それなのになぜ敢えてお前を抱いたと思う?」


 「それは……」


 何となく?


 遊び?


 気まぐれ?


 暇つぶし?


 はけ口?


 やり逃げ……?


 ありとあらゆる想像が、美月姫を苦しめる。