四百年の恋

 「後悔しているのか?」


 「体を重ねている時は、ただ応えるのに必死で。でも新学期が始まってみると、清水くんは私を無視するようになって……」


 「……」


 「それがあまりにも悲しくて……。ここまでつらい思いするくらいなら、あんなことするんじゃなかったって毎日後悔して……」


 ついに美月姫の瞳から、涙がこぼれ落ちた。


 「その件に関して、清水と話はしたのか?」


 「そんなこと、口に出して訊けるわけないじゃないですか……。何も触れないってことは、忘れたいって思っている無言の意思表示なんじゃないですか? ただの体目当ての気まぐれだったのでは……?」


 「そんなはずは」


 (まさか、あの福山冬悟がそんなことするわけがない。たとえ記憶をなくして、別人として生きていても)


 圭介はそう思ったのだが、


 「だって清水くんは、いずれは父親の地盤を継いで政治家になって、総理大臣をも狙える逸材なんですよね。それにはいいところのお嬢さんとの政略結婚が必要不可欠で。だから私とのことは、ただの遊び。いや遊びにも至らない、ただの暇つぶし……」


 「違う」


 圭介は卑下する美月姫に反論した。


 「あいつは……お前を愛している」