四百年の恋

 「……そういう相手がいるのなら、どうしてそいつを求めないんだ」


 現実を知っているにもかかわらず、圭介は残酷な問いかけをした。


 「あの人は……私の体だけを奪って、それっきり知らんぷりでした。だからもういいんです。忘れたいんです。だから私を激しく抱いて、全てを忘れさせてください」


 「だから俺は、」


 「吉野さんは昔、恋人をどうやって抱いたのですか?」


 「えっ」


 「その人を愛したみたいに、私を抱いてください」


 「大村、」


 「もう、どうなっても構わない。吉野さん、好き……」


 強引に唇を重ねられそうになった。


 「やめろ!」


 圭介は思わず、美月姫を突き飛ばした。


 そのまま美月姫は、砂浜に崩れ落ちた。


 「……」


 美月姫は砂を無言で握り締めていた。


 「悪かった」


 圭介は美月姫を起こそうとしたのだが、


 「……私が嫌いになりましたか」


 逆に切なそうな声で尋ねられた。


 「大村……」


 「結局私は、誰にも必要とされていないのですね……」


 美月姫の瞳に涙が浮かんだ。


 それを見た圭介は、方針転換を余儀なくされた。