四百年の恋

 「ねえ、私を壊して……」


 繰り返される懇願。


 「やめないか」


 あくまで冷静に、圭介は振る舞った。


 「もっと自分を大事にしなさい。体を……大切にするんだ」


 美月姫の体を引き離しながら。


 たやすく体を男に与えないようにと諭したのだが。


 「もういいんです。私、初めてじゃないし」


 「えっ」


 「初めてじゃないんです。だからどうなっても構いません。吉野さんの好きなように抱いてください」


 美月姫は経験がないと思っていた圭介は、かなり衝撃を受けていた。


 「大学で……知り合った奴とやったのか」


 衝撃を押し殺すかのように、圭介はようやく言葉を発した。


 「違います。去年の夏休みです」


 「去年の夏休み……!」


 「模擬試験のため札幌に泊まった際、迷い込んだ水源地の森で……」


 その一言で、圭介は予測したというか確信した。


 美月姫の相手が清水優雅であることを。