「へえ……。着物姿もなかなかのものじゃないか」


 長い髪の先をつまみながら、綺麗な顔をまじまじと眺めた。


 「ん?」


 その時何か、違和感を覚えた。


 「お前、真姫……じゃないのか?」


 同じ顔をしているのだけど、身にまとう雰囲気がどことなく異なっている。


 「まさかお前は、月光姫?」


 月光姫。


 その名を口にした途端。


 女はすっと立ち上がった。


 着物の裾を引きずりながら、部屋から出て行こうとする。


 「待て。もう行くのかよ」


 圭介は後を追おうとしたが、まるでねむり薬を飲まされたかのように、体が重い。


 自由が利かない。


 必死な思いで立ち上がり、後を追い、月光姫が歩き去ったふすまの向こうへと向かう。


 その瞬間、強烈な光が圭介を襲い。


 たまらず目を閉じた。