四百年の恋

 ……。


 「今日も楽しかったです」


 美月姫の家の前に着いた。


 帰り際の美月姫の表情は、切なさに満ち溢れている。


 「明日会えなくて寂しいです」


 明日会えない分、今日たっぷり愛しておきたい。


 (だけど……告白が先だ)


 圭介は考えた。


 次に海に出かけた際が、頃合ではないかと。


 美月姫のほうからは、恥ずかしくてなかなか言い出せないだろう。


 年長の自分のほうから打ち明けて、白黒はっきりさせなければ。


 圭介は決意を固めた。


 「もう、温もりだけじゃ我慢できません。もっと……先生のそばにいたいです」


 別れ際、キスを求められた。


 圭介もすぐにでも、その柔らかな唇を奪いたい気分ではあったけど。


 「家族が飛び出してくるぞ。続きはまた今度」


 「先生……!」


 懇願にもかかわらず、髪を撫でるだけにしておいた。


 ここは自分の家の前。


 今日はすでに父親の車が停まっている。


 もう帰宅しており、帰りの遅い娘を心配して様子を窺っているかもしれない。


 美月姫もさすがにそれ以上のことは断念した。