四百年の恋

 高校時代の美月姫からすると、こんなに恋愛に夢中になる性質だったとは信じられないことだった。


 あの頃の美月姫はクールでドライで、恋だの愛だのに溺れている奴を冷めた目で見ていた。


 それが今……。


 全身全霊から想いが溢れ出すかのように、圭介を見つめている。


 「先生……」


 帰りの車の中。


 美月姫は助手席にて、流れる街の灯りを静かに眺めていた。


 話に夢中になると、時間が過ぎるのがますます速くなってしまうのが嫌だった。


 一方圭介は。


 改めてこれからの美月姫とのことを考えていた。


 今のところ、プラトニックな関係を貫いたまま、今日に至っている。


 だが、いつまでもこのままではいられない。


 良識やら倫理観などで武装している、年長者の自分ですらこんなに苦しいのに。


 求めても応えてもらえずにいる美月姫には、かなり寂しい思いをさせているのは明白。


 そして……来月の連休の旅行。


 泊りがけの旅行に出かけて、まさか何事も起こらない訳はない。


 その時までに、二人の関係をはっきりさせておかなければならない。


 どうやって特別な関係に持ち込もうか。


 彼女の両親には、どう対応すれば……。


 考えなければならないことも多かった。