四百年の恋

 「……明日は親戚が遊びに来るから、家にいなきゃいけないんです」


 「以前話していた、名古屋方面にいるおじさん夫婦だったか?」


 「はい……。一年ぶりの対面です」


 ちょうど去年の叔父夫婦の滞在の折、函館市内の高級中華料理店に一緒に出かけて、そこで清水優雅一家と遭遇した。


 (あれからもう一年が経つんだ)


 ふと振り返る際、優雅を思い出した。


 「先生……」


 思い出を消し去りたくて、美月姫は圭介の腕をさらに一層力強く掴んだ。


 「大村?」


 力が強まったのに圭介は気がついた。


 「明日は先生に会えないですね。一日会えないだけでも寂しい……」


 嬉しいことを口にする。


 「毎日会いたい……。もう一人だった頃には、戻ることができません」


 角度を変えて、胸に飛び込んできた。


 「先生って暖かい」


 身長差約15センチ。


 圭介が覗き込むと美月姫の横顔は、至福の表情。


 抱きしめ返されるのを待っているかのようだ。