四百年の恋

 手を伸ばせばすぐに触れられるような、狭い車内。


 立て続けに学園内で美月姫との関係を指摘されたのもあって、この日はさすがに公衆の面前で会う気にはなれず、ドライブしようと提案して美月姫を連れ出していた。


 二人きりの車内。


 テイクアウトで調達したファストフードで腹ごしらえをした後、高台で夜景などを見ながら時を過ごしていた。


 「たまにはこういうのもいいですね」


 圭介の事情を知らない美月姫は、無邪気に微笑んでいる。


 助手席のシートにもたれながら。


 車内に注ぎ込む月の光が、優しく美月姫を照らし出す。


 これ以上ここで二人きりでいると、今のままではいられなくなる。


 自分を抑えるのがつらい。


 拷問から逃れるように、圭介は車外に出た時、


 「先生」


 後を追うように美月姫も外に出てきた。


 「もう夏も終わりですね」


 丘の下には、函館の街の夜景が広がっている。


 昼間はまだ30度近い暑さとはいえ、夜になるとたちまち気温が下がり、肌寒ささえ感じるようになる季節。


 ひんやりとする夜風から身を守るために、美月姫は今夜も腕を絡ませてくる。