四百年の恋

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 「全く……! いい年した教師の分際で、教え子に手を出すとは、とんでもない奴だな」


 翌朝、登校直後の職員室。


 隣の席の同僚が突然そんなことを言ってきたので、圭介は驚いた。


 「そ、それは……」


 恐る恐る問い返した。


 自分のことを言われているのではないかという恐怖で。


 「吉野先生、これですよこれ」


 同僚はインターネットのニュースサイトを閲覧していた。


 「部活顧問(38)、16歳の教え子にわいせつ行為、淫行……」


 圭介は口に出して読み上げた。


 他県で発生した、教師による教え子に対するわいせつ事件の報道だった。


 「ほんと、この手の事件多いですな。教師としての自覚が足りん奴らが多すぎる」


 熱血漢の同僚は憤慨している。


 「吉野先生も、気をつけてくださいよ」


 「ど、どうして私が」


 動揺を抑えるのに一苦労した。


 「先生もバドミントン部の顧問をなさっているじゃありませんか。しかも女子ばかりの」


 「部員は皆、貴重な戦力です。せっかく育ててきたものを目先の欲でだめにしてしまうほど、愚かなことはないですよ」


 「それに先生は独身だし、女生徒にファンも多い」


 「若造だと思われて、からかわれているだけですよ」


 平均年齢の高い紅陽学園教師陣の中、確かに圭介は目立つ存在だった。


 「ファンといえばこの春卒業の、先生のクラスにいた大村美月姫……。夏休みの間中、ちょくちょく学園に遊びに来ていたらしいですね」