四百年の恋

***


 ……肌にぬくもりを感じた。


 窓から迷い込む海風に、その長い髪は緩やかに揺れて、


 (美月姫……!?)


 圭介は混乱した。


 (どうして? 俺さっき確か、彼女を家まで送り届けて……)


 家に入っていくのを確かめて、それから自分も帰路に着いたはず。


 何事も起こらないままに。


 (それが今、どうしてこんなことに……)


 おやすみの挨拶をして、立ち去ったはずなのに。


 経緯が分からない。


 (それより、ここはいったいどこなんだ)


 自分の部屋でもない。


 美月姫の部屋にしても、何か変だ。


 底知れぬ暗さ、果てしない寂しさに満ち溢れた部屋。


 とても年頃の女の子の部屋ではない。


 (まさか、ホテル? ……何が何だか分からない)


 相手は未成年で、元・教え子。


 うかつに手を出すわけにはいかず、しばし自制していた。


 なのに自制心を、いとも簡単に打ち砕いてしまったらしい。


 (どうして俺は……!)


 圭介は自分がやらかした事態に対して実感が湧かず、右手で顔を覆った。