四百年の恋

 圭介は即答できなかった。


 わずらわしい街から抜け出して、遠い地で美月姫を抱きたい。


 その想いは一緒だった。


 「先生と一緒なら、どこでもいいです」


 潤んだ瞳で、美月姫は圭介に懇願した。


 「私を遠くに連れて行ってください」


 しばらく歩き続けて、街路樹の根元。


 重なる視線。


 ふとその時、自転車に乗った若者が横を通り抜けていった。


 とっさに圭介は美月姫から離れた。


 「……考えておく」


 旅行の件に関しては、こう答えるに留めておいたが、


 「嬉しい、楽しみにしています」


 美月姫は満面の笑みを浮かべた。


 美月姫の家は、曲がり角を左折するともうそこだ。