四百年の恋

 「他に二人っきりになれるところって、どこですか?」


 「……」


 答えに困った。


 「先生と生徒っていう関係が、ややこしいですね……」


 美月姫はさらに強く圭介の腕に絡まる。


 このままその身を引き寄せて、強く抱いてしまいたいと願うのだけど。


 「あなたたちは幸せになれない」


 昼間の静香の言葉が、圭介に重くのしかかる。


 どんな根拠でそんなに断言できるのかは不明だが、彼女の言うことももっともなので反論できない。


 美月姫をこのまま自分のものにして、幸せにすることで見返してやりたい。


 だが清水優雅の思い出が、今でも二人に影を落としている。


 美月姫の悲しみに付け込んで手に入れたと思われるのも嫌だったのが、圭介が時間をかけたもう一つの理由だった。


 ……程なくラストオーダーを迎え、刻限の二時間となってしまった。


 「さあ、行くぞ」


 「……」


 二人で過ごす時はいつでも、美月姫は帰りたくなさそうな仕草を見せる。


 「今日はもう遅いから、またゆっくり話そう」


 夜の間ずっと一緒にいても構わないのだけど、未成年の教え子。


 家族に不信感を抱かれるのは最も避けなければならないので、帰宅時間にだけは毎度気を配っていた。