四百年の恋

***


 「ねえ彼女、一人?」


 五稜郭付近のラッキーピエロ入り口に、一人で立っていた美月姫。


 夕闇迫る中、凝った看板やポスターを眺めていたところ、急に男に話しかけられた。


 驚いて顔を上げると、見知らぬ男が二人。


 「彼氏でも待ってるの?」


 いきなり尋ねられた。


 「え……」


 美月姫はなんて答えるべきか迷った。


 先生は先生であって、彼氏ではないし。


 いくら一緒に居てくれるからって、調子に乗って「彼氏」だなんて一方的に宣言されても、向こうは迷惑だろうし。


 (私が一方的に、恋人ごっこみたいなことを先生に要求しているだけなんだし……)


 迷った挙句に美月姫は、


 「いえ……。彼氏はいません……」


 余計な情報を相手に与えてしまった。


 「ふーん、そうなんだ。君、地元の人?」


 「はい……」


 このようなシチュエーションに馴れていない美月姫は、馬鹿正直にナンパ男に受け答えしている。


 「それならちょうどいいや。俺たち観光で函館に来たんだ。道案内してよ」


 「えっ」


 ナンパ男は車を指差した。


 札幌ナンバーのスポーツカー。