***
「先生、何か考えごとですか?」
横で湖面を眺めていた美月姫が、圭介の顔を覗き込むように訪ねた。
「ん……。いつ来てもここは、いい眺めだと思って」
とっさに答えた。
圭介が考えていたのは、これからの美月姫との関係。
この日は紅陽学園の、夏休み最後の日曜日。
約束通り美月姫に車を運転させ、函館近郊の大沼国定公園を訪れていた。
駒ケ岳の麓の、美しい湖。
車を停めて、湖のほとりをあちこち歩き回っていた。
圭介は湖を見つめながらふと考えごとをしていたのだが、その大部分は清水優雅のこと。
……先日、優雅の母親に伝言を託し、次の日まで待ってみたのだが、結局優雅からの返信はなかった。
無視したのか、何とも思っていないのか。
(それが、あいつの返事だとしたら)
圭介は決意を固めつつあった。
「先生は昔の恋人と、ここにも来たことがあるんですか?」
突然美月姫に訪ねられた。
「……昔のことだし、もうよく覚えていない」
嘘だ。
この地を真姫とも訪れたことがある。
離れないように、手を繋いで。
そういえばこの地は、滞在中の福山冬雅の元に、弟である冬悟の謀反の知らせが届けられた、悲しい思い出の地。
月光姫は愛しい人の無実を信じ、はるか福山城まで馬を走らせたという……。
「先生、何か考えごとですか?」
横で湖面を眺めていた美月姫が、圭介の顔を覗き込むように訪ねた。
「ん……。いつ来てもここは、いい眺めだと思って」
とっさに答えた。
圭介が考えていたのは、これからの美月姫との関係。
この日は紅陽学園の、夏休み最後の日曜日。
約束通り美月姫に車を運転させ、函館近郊の大沼国定公園を訪れていた。
駒ケ岳の麓の、美しい湖。
車を停めて、湖のほとりをあちこち歩き回っていた。
圭介は湖を見つめながらふと考えごとをしていたのだが、その大部分は清水優雅のこと。
……先日、優雅の母親に伝言を託し、次の日まで待ってみたのだが、結局優雅からの返信はなかった。
無視したのか、何とも思っていないのか。
(それが、あいつの返事だとしたら)
圭介は決意を固めつつあった。
「先生は昔の恋人と、ここにも来たことがあるんですか?」
突然美月姫に訪ねられた。
「……昔のことだし、もうよく覚えていない」
嘘だ。
この地を真姫とも訪れたことがある。
離れないように、手を繋いで。
そういえばこの地は、滞在中の福山冬雅の元に、弟である冬悟の謀反の知らせが届けられた、悲しい思い出の地。
月光姫は愛しい人の無実を信じ、はるか福山城まで馬を走らせたという……。



