四百年の恋

 「またいつものごとく、清水に伝言をお願いしたいのですが」


 「……先生も飽きないですわね」


 紫は苦笑する。


 「じゃ、いつもの通り、私の携帯にメールを。本文をそのまま優雅に転送しますので」


 圭介は携帯を取り出し、紫の携帯宛にメールを送信した。


 それは優雅へのメッセージ。


 直接連絡を取る手段がないため、紫に転送してもらっている。


 紫は「本人の固い意志」ということで、優雅のメールアドレスを決して教えてはくれなかった。


 説得の末に妥協案として、紫のメアドにまずメールを送り、そこから優雅に転送してもらう手段を講じた。


 「いつも申してます通り、メールの内容に対してのリアクションは、優雅の意思に任せてありますので」


 「構いません。彼が返事する意思がないのなら、それはそれで仕方のないことです。読んでもらえればそれだけでいいのです」


 「優雅には、熱烈なファンが多かったようですわね。先生も含めて。未だにこうして捜し求めてもらえるなんて。……そういえばあの女の子はお元気かしら?」


 「女の子?」


 「卒業謝恩会の直後、消えた優雅を探しに、ここまで現れましたわ。そう、先生とちょうど入れ違いに」


 「私と入れ違いに?」


 「ええ……。先生のクラスの、髪の長い綺麗な子ですわ。あの子は優雅のことが好きだったのでしょうね。切羽詰った目をしていましたわ」