四百年の恋

 大沼に松前。


 函館近郊のそれらの土地は、かの「月光姫」に大変ゆかりのある場所。


 それに動揺していた圭介に、さらなる衝撃が走った。


 (積丹に札幌?)


 気軽に「ちょっとドライブに」と出かける距離ではない。


 日帰りも強行日程なら不可能ではないが、通常なら一泊……。


 (一泊?)


 圭介は美月姫の真意が分からなかった。


 単に日帰りでも大丈夫と甘く見ているだけなのかもしれない。


 (だが……。状況からして、俺を誘っている可能性もある)


 「いきなり遠いところに出かけるのはやめよう。まずは大沼辺りにでも」


 何とかその場では、美月姫を丸め込むのに成功した。


 駐車場に着いた頃には、太陽はすっかり沈んでいた。


 その後食事をして帰宅。


 美月姫は依然として帰りたくなさそうな表情だったが、慣れない運転体験で疲れて眠くなってきたようで、思ったよりあっさりと帰宅を承諾した。