四百年の恋

 「選択肢が多いと、飽きないんですよね」


 「大村は高校の帰りとかも、結構寄ったりしたのか?」


 「長時間たむろとかしましたね。混んできたら居づらかったですが」


 ……それから美月姫は、高校時代の思い出話などをした。


 担任教師と生徒という関係で、一年間共にに過ごしてはいたが、職員室と教室とに隔てられていたため共通の思い出はさほど多くない。


 教師目線と生徒目線では、視点が違うことも多かった。


 話が尽きない。


 (あの頃が蘇ったみたいだ)


 圭介はふと感じる。


 真姫と同じ顔。


 同じ声。


 同じ仕草……。


 時が戻ったような錯覚に陥る。


 目の前にいるのは真姫ではなく美月姫であることを、忘れてしまいそうになる。


 「……先生、退屈でしたか?」


 しばらく物思いに耽っていた圭介に、美月姫は問いかけた。


 「私ばかり一方的に喋っちゃって」


 「あ……、いや違う。大村の話のおかげで、思い出に浸っていたんだ」


 真姫の面影を追いかけていて、美月姫の話を聞きそびれてしまった。