四百年の恋

 ……その日をきっかけに、美月姫は時折、圭介の元に遊びに来るようになった。


 夏休み中の紅陽学園高等部。


 夏休みとはいえ部活や講習などが行なわれているため、圭介もほぼ毎日出勤している。


 昼休みや空き時間などを見計らって、美月姫はやって来た。


 「大村は、夏休みのバイトとかはしないのか?」


 「模擬試験のお手伝いなどの短期バイトを、こちらではたまにやっています。でも基本は、自宅でゆっくりですね。大学の課題も残っているし」


 とは言うものの。


 自宅や図書館で一人で勉強していても寂しくなって、圭介のところに顔を出すようだ。


 高校時代の友達も進学で地元を離れて帰省しなかったり、地元に残った者はバイトに明け暮れるなどでなかなか会うことができないらしい。


 夏の夕暮れ。


 太陽は西へと傾いているのに、真昼の暑さは残っている。


 圭介の常駐する社会科準備室は、エアコンが設置されている。


 それを察知して、美月姫も涼みにきているようだ。


 美月姫の在学中は、真姫を思い出してしまうのを警戒して圭介は、極力美月姫と二人きりになるのは避けていた。


 だが卒業後の夏休みに再会してからは、そこまで気を配らなくなっていた。


 縛るのをやめた長い髪。


 眼鏡をやめてコンタクト中心になったことにより、柔らかな目元がより印象的になった。


 Tシャツにジーンズといった、カジュアルな服装。


 ますます真姫に印象が似てきている。