四百年の恋

 ……。


 「やっぱり“ラッキーピエロ”の“チャイニーズチキンバーガー”は美味しい!」


 美月姫はハンバーガーを、思い切り頬張った。


 「札幌でも食べられるんじゃないのか?」


 「どっかで売られているらしいですけど。やはり地元で食べないと、趣がないんですよね」


 「ラッキーピエロ」とは、函館が起源のファストフード店。


 十年ほど前に、地元出身の人気バンドが紹介した影響で、地元民のみならず観光客にも大人気。


 最近では店舗が増加し、市内あちこちで食べられるようになったが、どこも常に賑わっている。


 その一番の売れ筋商品が、「チャイニーズチキンバーガー」。


 なぜチャイニーズなのか今ひとつ謎なのだが、常に一番人気を誇っている。


 美月姫は成り行きで圭介とお茶することになって、帰り道にラッキーピエロの寄り道していた。


 圭介のおごりで、チャイニーズチキンバーガーとウーロン茶、食後にはイカ墨ソフトクリームまで注文した。


 「とりあえずは元気そうで安心したよ。大学はどうだ?」


 「第一志望に落ちて、やむなく入学した感じでしたが、入ってみれば友達も自然とできるし、楽しいですね」


 「勉強は?」


 「第二外国語とかは、皆同じスタートラインなので、毎日いっぱいいっぱいですよ」


 美月姫は時を忘れて、圭介に現状報告をしていた。