彼女らしくない取り乱し方に、周囲の友人たちも驚いていた。


 圭介も衝撃を受けた。


 二人の間には何も起こらなかったという安心感を抱いていた矢先に、思わぬ事態。


 (前世からの因縁が真実だとするのなら、こうなることも想定の範囲内だったのだけど)


 だとしてもショックだった。


 改めて、絶ち難き二人の絆を思い知らされる。


 福山冬悟と月光姫。


 不幸にも引き裂かれた二人は、次の世での再会を約束した。


 そして本当に巡り会えた。


 なのに清水優雅は、美月姫に背を向けて去っていった。


 別れの言葉もなく。


 ……新たな生を受けた優雅には、前世からの約束など意味がないのだろうか。


 周囲に与えられたレールの上を進むことを受け入れ、そのまま過去は捨てるつもりなのだろうか。


 家庭の事情に押しつぶされたのだろうか。


 それとも……?


 真相は闇の中だった。