慌てて返信したものの、メールは跳ね返された。


 アドレスを変えたのか、拒否設定か?


 そこで電話をかけると、「現在この番号は、使われていません」。


 状況から判断すると、今日の正午に圭介がメールを受信するように設定した後、今までの携帯を解約してしまったのだろう。


 過去を断ち切るつもりで?


 「……」


 単純そうに見えて、笑顔の裏の素顔は掴みにくい奴だった。


 改めて圭介は感じた。


 現に突然姿を消した理由も分からない。


 謝恩会の出欠表には彼自身で、○印を書き込んでいたにもかかわらず。


 ……連絡を取ろうとしても、携帯電話は解約済み濃厚。


 やむを得ず自宅に電話をしたり、母親の勤務先に押しかけてはみたが。


 「本人の強い意志」を盾に、取り次いでなどくれない。


 果たして彼の耳に届くか分からないが、伝言をお願いするのがやっとだった。


 (なぜ清水は……)


 そして、清水が姿を消した時に見てしまった、大村美月姫の切羽詰った表情。


 ヴェールで覆い隠していたものが、あの時一気に溢れ出して来たようだった。


 (それは清水優雅への思慕……?)