四百年の恋

 合格発表は、卒業式の約十日後。


 さらにその二日後には後期日程で北大を受験することになっているのだが、東大に無事合格できていれば後期試験は受験しない予定だ。


 いずれにしても合否発表がまだまだ先の段階での卒業式なので、美月姫もまた落ち着かない気持ちのまま卒業式の舞台に臨んでいた。


 「大村」


 卒業式会場に向かう前。


 廊下に生徒を並べていた時、圭介は美月姫を見た。


 三つ編みに眼鏡といった、いつもの装束ではなく。


 この日の美月姫は、髪を長くなびかせてコンタクトだった。


 「なんか、いつもとイメージ違うな」


 あの頃の真姫を見ているようで、圭介は子供のようにうろたえていた。


 「先生も……。いつもと違う雰囲気ですよ」


 通常の授業の際は、ワイシャツもスーツも動きやすさ重視。


 だがこの日は重要な式典。


 一番高級なスーツを身にまとっていた。


 そして卒業式の開催されるホールへと、生徒を率いて歩いていく。


 担任としての最後の任務……。