四百年の恋

 ……それから程なくして。


 美月姫は家族会議の結果を担任である圭介に報告した。


 二次試験の「前期日程」で東大文学部を受験。


 「後期日程」で札幌にある北海道大学の文学部を併願することにした、と決定。


 ただ後期日程は定員が少なく、受験科目も特殊なので競争率が前期以上に高い。


 前期で難関校に合格できなかった受験生が流入してくるのも、難しさに拍車をかけている。


 センター試験の点数を東大ほど必要としない北大でさえ、後期日程のレベルは東大と遜色ないと聞く。


 「併願とはいえ共にハイレベルだ。万が一に備えて、私大は受験しないのか?」


 「二校のみ受験で頑張ります」


 一方清水優雅は、余裕で東大一本に絞っていた。


 当日白紙の答案を提出でもしない限り、合格間違いなしというレベルだった。


 もったいない。


 圭介は正直そう思う。


 この頭脳ならば、世界に羽ばたけば将来ノーベル賞とか狙えるのでは?


 「優雅には荒唐無稽な夢よりも、確実な未来が待っていますので」


 海外で学ぶ話を持ちかけたところ、優雅の母親は圭介にそう言い放った。


 確実な未来。


 丸山乱雪の後継者となること。


 (もしかしたら、将来の総理大臣の地位を息子に与えようと、丸山幹事長は目論んでいるのかも)


 自分の代での総理大臣就任は狙わず、フィクサーに徹しているような丸山乱雪。


 だがそれは後継者への足がかりとも言える。