四百年の恋

 そしてこの春、両校の合併により圭介ははじめて静香と同僚の関係になった。


 以前から昔なじみとして、時々待ち合わせては食事や飲みに二人で出かけていたのだが。


 同僚になってからは、周囲の目を気にしなくてはならなくなった。


 学内での教員同士の恋愛もしくはそれと誤解されるような言動は、原則ご法度。


 生徒たちへの影響を考えているらしい。


 発覚した場合は、どちらかが転勤を余儀なくされる。


 圭介は静香に恋愛感情は抱いていなかったが、学校への影響を考え、あまり表沙汰にならないよう気を配っていた。


 だが静香は……。


 「清水優雅といい、あなたのクラス。これじゃ18年前の再現じゃないの。平気なの?」


 「なぜそんなことを尋ねる?」


 「だって……」


 いつも圭介のことを心配してくれる静香。


 それはただの同級生としての友情だけではないことに、圭介はいつしか気づいていた。


 静香は圭介を穏かな愛で見守り続けていた。


 18年前からずっと。


 彼女はあの時、嫉妬で圭介をけしかけてしまたことをずっと悔やんでいた。


 嫉妬のあまりつまらない嘘をついて、その嘘に踊らされた圭介は真姫を強引に抱こうとした。


 その時の混乱で、圭介は階段から転落し左足を負傷。


 選手生命を絶たれてしまった。