「ずっと記憶していられるのは、いいことじゃない」
札幌の幼なじみの顔や、死んだおじいちゃんの顔。
時間の経過と新しい生活に揉まれていくうちに、忘れたくなくても忘れてしまうことは美月姫にも多い。
「でも、みんなは嫌なことや消去したい過去を、時が経てば忘れていけるでしょ。俺はそれができないの」
「え?」
「忘れてしまいたいことも、いつまでも鮮やかにこの胸に残っているんだ。決して色褪せることなく」
パソコンなどのハードディスクに例えると。
容量が小さいものならば、満杯になりそうになると、余分なものを削除して新たなものに備える。
だが容量が大きいものの場合。
いつまでも容量に余裕があり続けるので、余分なものは生じず、データが増え続ける。
それは一見、羨ましいように見えて……。
「大村さんは、大学は札幌にするの? 大村さんの成績なら、東京の大学も大丈夫なんじゃないの?」
急に優雅が話題を変えた。
「うん。まだ志望学科も決まっていない状況で、東京に行く必然性もないし……。ユウガくんは東京だもんね」
そう言い終わった途端。
卒業と同時に優雅とは離れ離れになる可能性が高いことを悟り、美月姫は寂しさを感じた。
札幌の幼なじみの顔や、死んだおじいちゃんの顔。
時間の経過と新しい生活に揉まれていくうちに、忘れたくなくても忘れてしまうことは美月姫にも多い。
「でも、みんなは嫌なことや消去したい過去を、時が経てば忘れていけるでしょ。俺はそれができないの」
「え?」
「忘れてしまいたいことも、いつまでも鮮やかにこの胸に残っているんだ。決して色褪せることなく」
パソコンなどのハードディスクに例えると。
容量が小さいものならば、満杯になりそうになると、余分なものを削除して新たなものに備える。
だが容量が大きいものの場合。
いつまでも容量に余裕があり続けるので、余分なものは生じず、データが増え続ける。
それは一見、羨ましいように見えて……。
「大村さんは、大学は札幌にするの? 大村さんの成績なら、東京の大学も大丈夫なんじゃないの?」
急に優雅が話題を変えた。
「うん。まだ志望学科も決まっていない状況で、東京に行く必然性もないし……。ユウガくんは東京だもんね」
そう言い終わった途端。
卒業と同時に優雅とは離れ離れになる可能性が高いことを悟り、美月姫は寂しさを感じた。



