四百年の恋

 「この辺り見覚えあるね。たぶん来た道を戻っているんだと思う。このまま歩いていけば、元の場所に戻れるよ」


 「みんな戻っているかな」


 「万が一迷ったら、下手に動き回らないで外に出ようって話になってたから、きっと大丈夫」


 外に出れば何とかなる。


 美月姫もそう思った。


 きっと仲間たちも、外に出て待っていてくれているだろう。


 ただ……、このままこうして手を繋いで歩いていきたいと願う自分がどこかにいた。


 繋がれた手の温もりは、どこか心地よくて。


 ずっと昔から、こうやって歩いていたような錯覚さえ去来する。


 いつまでも手を繋いでいたい。


 特別な関係になったから、情が移っただけとは思えない。


 何か心の深い部分で眠っていたものが目覚めたのを、美月姫は感じ取っていたのかもしれない。


 帰り道。


 美月姫は何を話していいか分からず、黙って歩き続けていた。


 優雅に手を引かれるままに。


 「大村さん、昼間の模試はどうだった?」


 急に模試の話になった。


 自分のことは「ユウガ」って呼んでいいって許可したのに、美月姫のことを優雅は名字で呼び続けていたのがちょっと気になる。