四百年の恋

 「……!」


 鋭い痛みを覚えながら、美月姫は流れに任せて初めて男を受け入れたという事実を噛みしめる。


 (私はいったい……)


 美月姫は全てが終わった後でようやく我に返り、自分が今していたことを振り返って動揺していた。


 (好き……なわけでもないのに)


 清水のことを好きだったのかと問われても、肯定はできない。


 そういう感情を抱いたことなどなかった。


 それ以前に、好きだとか男女間の感情に対する意味を美月姫は未だに知らずにいた。


 (私、まだ高校生なのに)


 未熟なまま、好きでもない男と衝動的に体を重ねてしまった自分の大胆さに、美月姫は戸惑っていた。


 (清水くんは……)


 どういうつもりで自分とこういうことをしたのか。


 それもまた不可解で、美月姫は静かに清水を見つめた。


 「清水くん」


 「ユウガでいい」


 清水の下の名前は「優雅(やすまさ)」だが、仲の良い連中には名前を音読みして「ユウガ」と呼ばれていた。


 「優雅くん、どうして……」


 許可を得たので、仲のよい友人のみが許された「ユウガ」という呼び名を、美月姫は口にした。


 少し照れくさくて声が小さくなる。


 どうして私とこんなことをしたの?


 そうはっきり訊くのも恥ずかしすぎて、美月姫の声はデクレッシェンドしながら闇の中に消えていった。