四百年の恋

 「ね、大村さん、落ち着いて。俺はどこにもいかないから」


 美月姫が落ち着くまで、清水は黙って頭を撫でてくれていた。


 不思議な安堵感に、美月姫は満ち足りていた。


 遠い昔の思い出のような、居心地の良さ。


 「さあ、大村さん、そろそろ戻ろうか。みんな心配してるよ」


 美月姫が落ち着いたのを見計らって、清水は体を離し歩き出そうとした。


 「手、繋いでいていい? 離れ離れにならないように」


 未だ表情に不安の色の濃い美月姫を心配したのか、清水はその手を取った。


 ……指先が触れた瞬間。


 二人の視線が重なった。


 未だ霧は濃く、闇は深いままだったものの、長く暗い場所にいたため互いに暗闇に目が慣れてきていた。


 それゆえ重なる視線に、互いに凍りつくような衝撃を覚えた。


 視線は重なり、やがて絡み合う。


 衝動的に、清水は美月姫を強く抱きしめた。


 本能のままに美月姫は、その身を清水に委ねた。


 自分で自分が分からなくなるほどに、止める事などできなかった。